塗装できない屋根材「セキスイかわらU」
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目次
塗装できない屋根材「セキスイかわらU」についてご紹介します!
屋根リフォームには、屋根塗装や屋根葺き替え工事、屋根カバー工法などがありますが、
屋根材の中には、塗装できない屋根材が存在します。
大前提、瓦は一般的に塗装する必要がありません。
特に日本瓦は高い耐水性を持つため、保護塗装する必要がありません。塗装しても密着せずにすぐ剥がれてしまう可能性も高いです。
しかし、セメント瓦など、一部の瓦は塗装ができる場合もあります。
今回は、セメント瓦の一種であるセキスイかわらUについてご紹介します。
セキスイかわらUとは

塗装が可能はセメント瓦に属しているセキスイかわらUですが実は塗装ができるものとできないものがあります。
セキスイかわらUは、1970年2007年頃まで、約37年に渡り日本の戸建住宅約50万棟に使用された屋根材です。
見た目は同じなのに、築年数が経っても、しっかりとしているものや、ボロボロに劣化してしまっているものがあります。なぜこのように劣化具合が違うのでしょうか。
セキスイかわらUについて詳しく解説していきます。
セキスイかわらUの歴史
セキスイかわらUは、1970年に積水屋根システム株式会社(旧セキスイルーフテック)から販売されました。
セキスイかわらUは、瓦を模した圧型スレート(セメント瓦)で、軽く、強いという特徴をもち、屋根カバー工法が可能ということから、全国50万棟もの住宅に採用されました。
販売当初の1975年から1990年の15年間のかわらUには、約10~15%のアスベストが含まれていました。

この時期のかわらUは、アスベストが含まれていたので、耐久性も高くありました。
その後、社会問題にもなったアスベストの規制により、1990年にノンアスベストのセキスイかわらUが販売されました。
しかし、発売されて間もなくして剥がれや割れなどが報告されてしまいます。
当時、セキスイは、ノンアスベスト屋根材の販売実績がなく、アスベスト問題による世相に煽られ、急遽ノンアスベストのかわらUを製造した為、セキスイかわらUは、耐久性に乏しくとても脆い状態で販売されてしまいました。

この時期は、セキスイかわらUだけではなく、1990年後半〜2004年頃までに製造・施工されたスレート屋根材のほとんどは、アスベストの健康被害を危惧し、2004年に定められた規制をクリアする為に、アスベストを使用しないノンアスベスト屋根材が販売・製造されており、1990年以降に製造されたセキスイかわらUと同じように不具合が発生しています。
これらが、昨今、問題になっている塗装できない屋根材です。
その後、セキスイかわらUは、2007年に販売が中止されました。
2種類のセキスイかわらU
上記でもお伝えしましたがセキスイかわらUは、2種類存在します。
アスベストが含まれているものとアスベストが含まれていないものです。
形状は、ほぼ変わらないのですが、上記でもご説明したように、アスベストが含まれていないノンアスベストのセキスイかわらUは、非常に脆く劣化も早いです。
アスベスト含有セキスイかわらU
アスベスト含有セキスイかわらUは、アスベストが入っているだけあり、丈夫にできています。
メンテナンス方法としては、塗装も“可能”です。
塗装できるセキスイかわらUでも塗装は、おすすめしません。
軽さと強さが売りであったセキスイかわらUですが、現在のリフォームで使われている屋根材は、より軽量で耐久性も遥かに勝ります。
加えて、セキスイかわらUは、屋根カバー工法で使用されることがほとんどなので、かわらUの下には、もう一層屋根材がある可能性が高いです。セキスイかわらU自体の重さに加え、下の屋根材の重さも加わっているのでお家への負担を考えると葺き替えをおすすめします。
ノンアスベストのセキスイかわらUの特徴
1990年から2007年までに製造・販売されたセキスイかわらUは、耐久性が乏しいので、経年劣化によって表面の塗膜が剥がれやすく、非常に割れやすく、落下の危険性も高いです。
稀に、「かわらUでも割れている箇所は、補修するので塗装出来ますよ」などと勧めてくる塗装業者もいますが、絶対に塗装は、出来ません!
仮に劣化状況がそこまで進行していなかったとしても、表面を塗装したくらいでは、かわらUの劣化症状は、止められません。
塗った時は、一時的に綺麗になったとしても内部から剥離して崩れてきます。
なによりも、塗装する為に職人が屋根に乗っただけで割れてしまいます。
どのノンアスベスト屋根材にも言えることですが、メンテナンスする前よりも状態は、酷くなってしまうので、絶対にやめましょう。
ノンアスベストのセキスイかわらUの症状
塗膜の剥がれ

表面の塗膜が剥がれて、白い下地(基材)が露出してくる現象が起きます。
症状が現れるまでの期間も短く、時間が経つにつれ酷くなっていきます。
塗膜の剥がれた箇所から、雨水が染み込んでいき、更に劣化を加速させてしまいます。
クラック(ヒビ割れ)

塗膜が剥がれた箇所からの劣化に加え、外的要因があったわけでもないのに、基材にヒビが割れてきます。塗膜が剥がれていない箇所からも次々に割れてくるので補修では、対応出来ません。
基材の崩れ

末期症状のセキスイかわらUは、塗膜の剥がれや、ひび割れ箇所に水分が吸収され、基材自体がボロボロに崩れてきます。
このような症状は、ニチハから1996~2008年に製造・販売されていたパミールに似ています。
このまま放置してしまうと、崩れたかわらUが落下してくる危険性や、雨樋の詰まりの原因にもなります。
逆に、勾配(傾斜)が緩い屋根型だと、セキスイかわらUが崩れていても、落下せずに屋根に滞留していることがほとんどなので、気づかないうちに症状が悪化してゆき、雨漏れまで進行してから、ようやく気づくケースもあります。
上記の症状が見られるセキスイかわらUですが、その他のノンアスベスト屋根材も含め、絶対に登らないでください。慎重に載ったところで確実に踏み割れてしまいます。
しっかりとした専門の業者に診てもらいしょう。
セキスイかわらUのメンテナンス方法
セキスイかわらUのメンテナンス方法は、大きく分けて3つあります!!
アスベスト含有セキスイかわらUには
塗装

アスベストを含むセキスイかわらUは、塗装出来ます。
アスベスト含有のものと、ノンアスベストタイプのものは、ほぼ同じ形状ですが、前項の”ノンアスベストのセキスイかわらUの症状”が少しでも確認できれば、塗装出来ないノンアスタイプだとわかります。
仮に、症状が初期段階で塗装していたとしてもノンアスベストの症状は、確実に見られますので、屋根を確認すれば判断できるかと思います。
アスベスト販売初期から1990年前後までに使用されたセキスイかわらUであれば、アスベストが含まれているので、耐久性もあり塗装可能です。
ですが、アスベスト使用後期の1990年前後のものでも、すでに30年以上経っていますので、基材の経年劣化や、セキスイかわらUの重量などを考えると、塗装可能だとしても塗装は、オススメ致しません。
次項で解説させて頂く、葺き替え工事をおすすめします。
ノンアスベストセキスイかわらUには
屋根葺き替え工事

葺き替えとは、既存スレートを撤去して、新しい屋根材で葺き替えるメンテナンス方法です。
下地から補修・点検できるため、費用は嵩みますが屋根の寿命を大きく伸ばすことができるため、屋根材を新しく交換するのが、最善の策です。
かわらUの下には、もう一層屋根材がある可能性が高いです。
セキスイかわらU自体の重さに加え、下の屋根材の重さも加わっているのでお家への負担を考えると葺き替えをおすすめします。
屋根カバー工法

ノンアスベスト屋根材のメンテナンスをされる方のほとんどは、屋根カバー工法です。
屋根カバー工法は既存の屋根材の上に新しく屋根材をかぶせるメンテナンス方法です。
工期が短く、廃材が少ない為、葺き替えに比べると工事費用が安く抑えられます。
屋根材を被せる前に、新規のルーフィング(防水紙)を貼るので、屋根防水が二重になるメリットもあります。
デメリットとして、既存の屋根材を撤去せずに新しいルーフィング・屋根材を被せるので、屋根の重量が増してしまいますが、軽量の金属屋根材を使用することで、重さによるデメリットは、ある程度軽減されます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
現在、多数の塗装出来ない(塗装しては、いけない)屋根材が多くの住宅の屋根材として今だに使われています。
これらの屋根材は、リコール対象になっているものは、少なく、製品保証も10年程なので、自己負担で改修工事を行わなければなりません。
非常に心苦しいですが、早い段階で葺き替えるか、カバー工法でのメンテナンスの必要があります。
早い段階で、メンテナンスしてしまいましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
現在、セキスイかわらU以外にも多数の塗装出来ない屋根材が多くの住宅の屋根材として使われています。
これらの屋根材は、早い段階で葺き替えるか、カバー工法でのメンテナンスをお勧めします。
今回は塗装できない屋根材“セキスイかわらU”についてご紹介させていただきました。
お家の屋根材が塗装できない屋根かどうかは経験豊富な屋根工事業者であれば見極めることができます。
鈴吉ペイントでは現場経験10年以上の外壁診断士が在籍しており、建物診断・見積もりが無料ですのでぜひ、お気軽にお問合せください!
