塗装できない屋根材「グリシェイドNEO」
この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。
目次
塗装できない屋根材「グリシェイドNEO」についてご紹介します!

屋根リフォームには、屋根塗装工事、屋根葺き替え工事、屋根カバー工法などがあります。
屋根材の中には、塗装できない屋根材があります。今回は、塗装できない屋根材”グリシェイドNEO”についてご紹介します。
スレートの歴史
まずは、スレートの歴史を簡単に振り返ってみましょう。
古くは、明治時代に日本へ天然スレート・石綿スレートが輸入されました。
天然スレートは、粘板岩(ねんばんがん)と呼ばれる天然の石を加工したものなので、高級屋根材であるため、日本では、あまり普及しませんでした。ちなみに東京駅の屋根は、天然スレートです。

一方、セメントに石綿(アスベスト)を混ぜて圧縮成型した石綿スレートは、断熱性・防火性・耐久性が高く、日本の屋根建築資材として多く普及しました。
しかし、2004年に労働安全衛生法施行令が改正し、アスベストの含有量が1%を超える建設材、資材の製造・販売が禁止、2006年には、アスベスト含有量0.1%を超える石綿(アスベスト)含有製品の製造・輸入・使用等が禁止されました。

石綿(アスベスト)が完全に規制されたのは、2004年ですが、建材メーカーは、1990年頃から石綿(アスベスト)抜きの屋根材を製造販売していました。
これが今、問題になっている塗装できない屋根材です。
1990年後半〜2004年頃までに製造・施工された屋根材のほとんどは、石綿(アスベスト)の健康被害を危惧し、2004年に定められた規制をクリアする為に、石綿(アスベスト)を使用せずに製造・販売されたノンアスベスト屋根材です。
急遽、アスベストを使用しなくなった為、その時期に製造・販売された屋根材は、どのメーカーの屋根材も耐久性に乏しく、8年~10年くらいすると不具合が多く報告され、生産されなくなりました。
グリシェイドNEOもその一つとなります。
グリシェイドNEOとは
グリシェイドNEOは、2001年にクボタ(現KMEW)から製造・販売されていたが、アスベスト規制により使用出来なくなったノンアスベストスレート屋根材です。
ノンアスベスト屋根材として有名なコロニアルNEOと劣化症状もよく似ています。
グリシェイドNEOの特徴
下部の切れ端が真っ直ぐになっており、表面にはうっすらと木目調の模様があります。
グリシェイドNEOの形状

コロニアルNEOの形状

また、グリシェイドNEOは、スレートとスレートとの間に約1cmほどのスペースが空いているのも特徴です。

グリシェイドNEOの主な症状
ヒビ割れ

アスベストが含まれていないグリシェイドNEOは、初期症状として経年と共に自然とヒビが入ってきます。
重さが加わると、すぐに割れてしまうので、屋根を調査してもらう際にも注意が必要です。
割れ

上記のヒビ割れの症状を放置しておくと、そこから割れ落ちていきます。
反り

他のノンアスベスト屋根材にも多く見られる症状の一つで経年によりスレートの端部から反り上がってきます。
層状剥離

この症状が顕著に現れることで有名なものがニチハのパミールがあります。
グリシェイドNEOは、パミールほどでは、ありませんが雨水が浸透すること写真のように下部から剥離していく症状も見られます。
いずれの症状でも屋根材の下には、ルーフィング(防水紙)がありますので、すぐに雨漏りすることはありません。
ですが、屋根の防水上、非常に良くない状態であり、なにより劣化が酷くなれば屋根材の落下の危険があります。
塗装できるのか?
グリシェイドNEOは、塗装できません!!
稀に知識のない業者から、「ヒビ割れは補修できるので、塗装出来ますよ」などと誤った施工方法を勧めてくることがありますが、グリシェイドNEOは、塗装しても意味がありません。
スレート材は、セメントを主原料にしているので、屋根材そのものに防水性がありません。
スレートは、屋根材の上に防水塗膜がコーティングしてあり、その防水塗膜が劣化してしまうと屋根材自体の劣化や苔の発生に繋がります。
グリシェイドNEOの場合、屋根材自体の耐久性に問題があり、経年によりヒビ割れ・欠け・層状剥離などの劣化症状が抑えられません。
たとえ、グリシェイドNEOに塗装をしても、一時的に見栄えは、良くなるかもしれませんが、塗膜の劣化よりも早く屋根材が、割れだしてしまいます。
その前に、塗装する為に職人がグリシェイドNEOの上を歩くと割れてしまうので、屋根のメンテナンスどころか、症状を悪化させてしまいます。
グリシェイドNEOのメンテナンス方法
グリシェイドNEOは塗装ができなくても、メンテナンス方法は、2つあります!!
屋根葺き替え工事

葺き替えとは、既存スレートを撤去して、新しい屋根材で葺き替えるメンテナンス方法です。
下地から補修・点検できるため、費用はかかりますが屋根の寿命を大きく伸ばすことができ、屋根材を新しく交換する最善の策になります。
屋根カバー工法


屋根カバー工法は既存の屋根材の上に新しく屋根材をかぶせるメンテナンス方法です。
工期が短く、廃材が少ない為、葺き替えに比べると工事費用が安く抑えられます。
昨今、グリシェイドNEO以外にもノンアスベスト屋根材の多くがメンテナンス時期を過ぎており問題となっていますが、葺き替え工事に比べてコストが抑えられる屋根カバー工法は、非常に人気のメンテナンス方法となっています。
屋根材を被せる前に、新規のルーフィング(防水紙)を貼るので、屋根防水が二重になるメリットもあります。
デメリットとしては、既存の屋根材を撤去せずに新しいルーフィング・屋根材を被せるので、屋根の重量が増してしまいますが、軽量の金属屋根材を使用することで、重さによるデメリットは、ある程度軽減されます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
現在、グリシェイドNEO以外にも多数の塗装出来ない屋根材が多くの住宅の屋根材として使われています。
これらの屋根材は、早い段階で葺き替えるか、カバー工法でのメンテナンスをお勧めします。
今回は塗装できない屋根材“グリシェイドNEO”についてご紹介させていただきました。
お家の屋根材が塗装できない屋根かどうかは経験豊富な屋根工事業者であれば見極めることができます。
鈴吉ペイントでは現場経験10年以上の外壁診断士が在籍しており、建物診断・見積もりが無料ですのでぜひ、お気軽にお問合せください!
