塗装できない屋根材「アーバニー」
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目次
屋根リフォームには、屋根塗装や屋根葺き替え工事、屋根カバー工法などがありますが、
屋根材の中には、塗装できない屋根材が存在します。
アーバニーとは

スレート屋根といえば、平らな形状のものが多いですが、旧クボタ(現KMEW)から販売されていたアーバニーはランダムに天然スレートを敷いたような高級感溢れるデザインが特徴的です。
そんなアーバニーにも製造された年代によっては、塗装出来ないノンアスベスト屋根材が存在します。
アーバニーシリーズの歴史
アーバニー: 1982年から1994年まで アスベスト含有
ニューアーバニー:1994年から2001年 アスベスト規制により段階的にアスベストの含有率が引き下げられる
アーバニーグラッサ:2001年から2005年 ノンアスベスト
アーバニーは、1982年から2005年まで旧クボタ(KMEW)から約23年間に渡り、高級感溢れるスレート屋根材として、日本各地の住宅で使用されました。
このうち問題となっているのが、アスベストの規制により、アスベスト含有率が1~0.1%と段階的に引き下げられていった「ニューアーバニー」と、完全にアスベストを使用しなくなったノンアスベストの「アーバニーグラッサ」です。

1990年後半〜2004年頃までに製造・施工された屋根材のほとんどは、アスベストの健康被害を危惧し2004年に定められた規制をクリアする為に、アスベストを使用せずに製造・販売されたノンアスベスト屋根材は、急遽アスベストを使用しなくなった為、どのメーカーの屋根材も耐久性に乏しく、8年~10年くらいすると不具合が多く報告されはじめ、生産されなくなりました。
代表的なものでニチハのパミールや旧クボタのコロニアルNEOなどがあります。
アーバニーの特徴
アーバニーシリーズは、デザインが特徴で、小さなスレートがランダムに何枚も葺いてあるように見えますが、実は、一枚のスレートを下端の長さを変えてランダム調に切り込み(スリット)が入っているので、複数のスレートのように見えています。

このような形状ですので、アーバニーシリーズは、アスベストの有無に関わらず、切り込みの箇所から割れやすい形状になっています。
元々割れやすい形状ですので、アスベストが含まれなくなったノンアスベストのアーバニーは、非常に脆く、スリット箇所から割れ落ちてくることが多くあります。
アーバニーは、塗装出来るの?
アーバニーシリーズの中でも、1982年から1994年に製造・販売されていたアスベストを含んでいるアーバニーは、塗装可能です。
どのスレート材にもいえますが、アスベストが含まれているものは、耐久性が非常に高く、丈夫なので劣化状態が酷くなければ、塗装も可能です。
しかし、アーバニーは、他のスレート屋根材と比べても塗装のメンテナンスは、おすすめではありません。
上記でも紹介したようにアーバニーは、独特な形状が故に、他のスレート材と比べても割れやすいです。
アスベストが含まれている丈夫なタイプでも、塗装する際の高圧洗浄や、縁切りを行っている最中に割れてしまうことが多くあります。

そもそも、1994年に施工されたアーバニーでも、すでに30年以上経っています。それだけの年数が経っているものであれば、アスベストの有無に関わらず、基材自体もかなり劣化してしまっています。
なによりも、屋根で最も大切なルーフィング(防水紙)は、30年も経っているものであれば防水機能が失われていることが多いです。

塗装工事では、屋根材の表面しかメンテナンス出来ないので、塗装をしても一時的に表面上は、綺麗になるかもしれませんが、根本的なメンテナンスには、ならないのです。
アスベストが含まれていないアーバニー
1994年から2001年に販売されていたニューアーバニーと2001年から2005年に販売されていたアーバニーグラッサは、塗装しても意味がありません。
アスベスト含有タイプのアーバニーでも塗装する際に割れやすいとご説明しましたが、ノンアスベストのアーバニーは、屋根材自体も耐久性に乏しいので、アスベスト含有タイプのアーバニーよりも割れやすくなっています。
塗装する前には、下処理で高圧洗浄をしますが、その洗浄でも割れることが多くありますし、職人が作業の為に屋根上を歩くだけで割れていきます。
このようなことからノンアスベストのアーバニーのメンテナンスには、塗装は出来ません。
アーバニーの症状
アーバニーグラッサの劣化症状は、これらがあります。
※下記の症状は、アスベスト・ノンアスベスト関わらず発生します。
ヒビ割れ

他のスレートに比べ意匠性の高い、アーバニーだが、その形状が故にヒビが入りやすい。
欠落

落ちた欠片を発見して初めて屋根の劣化に気付き、鈴吉ペイントに問い合わせてくるお客様も多いです。
屋根材の下には、二次防水であるルーフィング(防水紙)がありますので、すぐに雨漏りするわけではありません。
ですが、屋根の防水上、非常に良くない状態であり、なにより落下して物損や最悪の場合、人当たる危険性もありますので、発見された場合は、すぐに業者にメンテナンスをお願いしましょう!
アーバニーのメンテナンス方法
アーバニーのメンテナンス方法は、大きく分けて3つあります!!
状態の良いアーバニーには
塗装

塗装は、1982年から1994年に製造・販売されていたアスベストを含んでいるタイプ尚且つ状態の良いアーバニーのみのメンテナンス方法です。
劣化状況が酷くなければ塗装は可能ですが、上記でもお伝えしたように塗装は、おすすめしません。
他のスレートよりも構造上の耐久性が低いので、塗装の際に割れてしまう可能性も高いです。
なによりも屋根防水の要でもあるルーフィング(防水紙)のメンテナンスが出来ません。
ルーフィングは、経年劣化によりボロボロになってしまうことが多く、屋根のメンテナンスをする上で、ルーフィングのメンテナンスが出来ないのは、致命的です。
塗装できないアーバニーには
屋根葺き替え工事

葺き替えとは、既存スレートを撤去して、新しい屋根材で葺き替えるメンテナンス方法です。
下地から補修・点検できるため、費用は嵩みますが屋根の寿命を大きく伸ばすことができるため、屋根材を新しく交換するのが、最善の策です。
屋根カバー工法

レサス含め、ノンアスベスト屋根材のメンテナンスをされる方のほとんどは、屋根カバー工法です。
屋根カバー工法は既存の屋根材の上に新しく屋根材をかぶせるメンテナンス方法です。
工期が短く、廃材が少ない為、葺き替えに比べると工事費用が安く抑えられます。
屋根材を被せる前に、新規のルーフィング(防水紙)を貼るので、屋根防水が二重になるメリットもあります。
デメリットとして、既存の屋根材を撤去せずに新しいルーフィング・屋根材を被せるので、屋根の重量が増してしまいますが、軽量の金属屋根材を使用することで、重さによるデメリットは、ある程度軽減されます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
現在、多数の塗装出来ない(塗装しては、いけない)屋根材が多くの住宅の屋根材として今だに使われています。
これらの屋根材は、リコール対象になっているものは、少なく、製品保証も10年程なので、自己負担で改修工事を行わなければなりません。
非常に心苦しいですが、早い段階で葺き替えるか、カバー工法でのメンテナンスの必要があります。
ですが、アーバニー以外のスレート屋根も含め、そもそもスレート屋根は、塗装できるのは、2回から3回までが良いとされています。不具合があった時期のスレートではなくても、いずれ葺き替え工事やカバー工法をしなければならなくなります。
現在カバー工法で主流となっている、ガルバリウム鋼板の屋根材は、非常に軽く、30年以上の耐久性があります。屋根の全面回収が早いか遅いかの問題ですので、お家の屋根がアーバニーシリーズであれば早い段階で、メンテナンスしてしまいましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
現在、アーバニー以外にも多数の塗装出来ない屋根材が多くの住宅の屋根材として使われています。
これらの屋根材は、早い段階で葺き替えるか、カバー工法でのメンテナンスをお勧めします。
今回は塗装できない屋根材“アーバニー”についてご紹介させていただきました。
お家の屋根材が塗装できない屋根かどうかは経験豊富な屋根工事業者であれば見極めることができます。
鈴吉ペイントでは現場経験10年以上の外壁診断士が在籍しており、建物診断・見積もりが無料ですのでぜひ、お気軽にお問合せください!
